触媒A君の物語

A君がB大テニスサークルのB子ちゃんと付き合い始めた。B子ちゃんを、友達のC大テニスサークルのC男君と引き合わせたら、紆余曲折の末、B子ちゃんとC男君が付き合う事に。B大サークルとC大サークルにも交流が生まれて今度合コンする模様。結局A君は独り身に戻った。

さてこれ、なんの話でしょうね?
 
答えはこれ。
古館カップリング
 
 
間違えた。
 
 
正しくはこれ。
クロス・カップリング
「クロス・カップリング反応」です。
 
この反応を、擬人化して表現すると、冒頭の文章になります。

有機化学はまったくの専門外なので、間違っていたらすみません。ご指摘お待ちしております。
(細かく言えば、B子ちゃんとC男君はサークルのメンバーではなくマネージャーで、付き合った2人はサークルを離れちゃうんだけど、それまで交流を持とうともしなかったBサークルとCサークルが連合を組む、とかそういう話なのかもしれません)
 
 
このたとえを見た化学者Nさんとのやりとり。(Pは私)

 N「触媒がそんなにツライ役回りだとは。優しく扱わないと」
 P「本人全く気づいてない可能性が有りますが。」
 N「そんな彼を粛々と改良するのも僕の仕事です。カップル量産化計画」
 P「定義上、彼の恋は実ってはいけないのだよなあ。悲しい定め。」
 N「実った場合、これを失活と呼びます。誰にも望まれない現象ですね、あぁ」
 P「泣ける。失活した触媒を見たら、私だけは祝福してあげたい。」

こんなネタ会話をtwitterでしていたら、フォロワーが3人も増えてしまった。なんか申し訳ない。
 
 
で、何回恋しても、結局他の人を幸せにして自分は独り身にもどってしまうA君。彼を主人公にした漫画かなんか、どなたか描きませんか。化学反応が元ネタだとは明かさずに。
既存の漫画を化学反応に当てはめたほうが早いのかも。何にでも化学反応を見出だす、腐女子の化学版ですな。

などと書いたところ、「それって普通に『男はつらいよ』だと思う」との指摘を受けました。そうかー、「男はつらいよ」って、そういう話だったのかー。
 
 
 
<おまけ>
ところで、画像1枚目の「古館カップリング」、巷(特に化学者の方々の間)ではかなりひどい言われようなんですが、放送されたときのやりとりを読んだら、これ鈴木先生にその場で指摘されているんですね。だったら古館氏や放送局をそんなに責めなくても良いのでは、と思います。
逆にこのどたばたを見ていて、「なんでここでくっついてはいけないんだろう?」「パラジウムはそこにはないんだ?じゃあどう使うの?」とか疑問に思ってくれる、あるいは頭の片隅に引っかかってくれる子どもが1人でもいたならば、むしろ日本の化学界の発展に一役買ったのではないかと。
 
 
 
<11/16追記>
Yukikunさんから質問があり、Nさんが答えてくれたので、私なりにまとめてみます。
なおここでは、B子さんもC男君も炭素として考えています。(本文中でチラッと出した「マネージャー」の比喩は、いったん取り下げ)

1) A君とB子さん間の素反応はどんな反応だったのでしょう?
小金持ちのA君がB子さんに金を渡して手を繋ぎました。

2) B子さんとC男君間の素反応は?
C男君は心優しい大金持ちのバイでした。B子さんに搾取されて貧乏になったA君に金を渡して手を繋ぎました。A君は二股ですがこの関係は3人とも理解していた模様。……B子さんが優柔不断なA君を見限って、直接C男君とくっつくまでは。

3) B子さんの活性化エネルギーはどの程度下がったのでしょうか?
Nさん曰く、活性化エネルギーとは反応物・生成物ではなく、反応そのものに対する言葉のようです。よってB子さんとC男君の関係で考えてみます。
元々、B子さんとC男君が直接付き合うことはありませんでした。C男君はB子さんにとって金持ち過ぎたのです。二人がくっつくには、B子さんがA君から金を搾り取ること、C男君がA君に金を施すことで、B子さんとC男君の(所持金的)距離が縮まる必要がありました。
「どの程度」という定量化はなかなか難しいですな。1価=平均貯蓄額かなんかで換算すると、定量化できるかもしれません。

4) 励起されたC男君のエネルギーはどこへ放出されたのですか?
C男君のお金の件で言えば、A君が持っていったようです。
どうせ、独り身になって、だらだらと使いきってしまうのでしょう。

ところで、昔、すごく真面目でいい人なんだけど、「励起」を「ぼっき」と読み間違えている学生がいたのを思い出しました。(台無し)

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触媒A君の物語」への5件のフィードバック

  1. ピンバック: Tweets that mention 触媒A君の物語 « 隣のたまこさん -- Topsy.com

  2. 質問でーす。
    1) A君とB子さん間の素反応はどんな反応だったのでしょう?
    2) B子さんとC男君間の素反応は?
    3) B子さんの活性化エネルギーはどの程度下がったのでしょうか?
    4) 励起されたC男君のエネルギーはどこへ放出されたのですか?

  3. どうも、化学者Nです。管理人に呼ばれましたので、少し詳しく長くお話させて頂きます。A君やB子さんの話は面白いと思うのですが素反応の説明には限界があります。上にある「正しいクロスカップリングの図」も参照してください。便宜的にB子さんを「プラスの炭素」 、C君を「マイナスの炭素」とします。そして、A君はマイナス気味なのですが、くっついたり離れたりすることでコロコロ様子が変わります(これがこの成果の肝です)。

    1) まず、A君はマイナス気味(電子がいっぱいある状態)なので、プラスであるB子さんに接近します。そしてB子さんに電子を渡して手を繋ぎます。この過程はAさんの電子が減る(酸化される)ことから「酸化的付加」と呼ばれます。この段階でA君とB子さんはセットになっています(A+B→A−B)。

    2) さて、A君はB子さんと一緒になったために電子が減ってしまいました(プラス気味)。そこでマイナスの炭素であるC君が接近してきます。C君は大量の電子を持ってA君と手を繋ぎますが、A君がB子さんを手放すことはありません。この過程は「金属交換」と呼ばれますが、この過程を経て「A君がB子さんとC君の二人と手をつないだ状態(C+A−B→C−A−B)」になります。B子さんとC君が直接ぶつかるわけではありません。
    このあと、B子さんとC君が曖昧なA君を見限って二人で手を繋いで離れていきます(C−A−B→C−B+A)。この際C君のもってきた電子が多過ぎて残るのですが、A君に押しつける形になります。A君が電子でいっぱいになる(還元される)ので「還元的脱離」と呼ばれます。この3つの素反応を経て、B子さんとC君をくっつけつつA君は元の状態に戻ります。

    3) 4) 「活性化エネルギー」という言葉は素反応に対応する言葉なので「B子さん、C君の活性化エネルギー」とは言いません。B子さんとC君を無理矢理ぶつけてくっつけるには相当なエネルギーが必要です(これがB+Cの活性化エネルギー)が、A君に協力してもらうことで全く違う反応経路を通ります。というわけで活性化エネルギーは全く異なる値を取ることになります。
    「触媒は反応を促進させるから分子を励起させているはず」というのはたまに見る間違いです。C君が過激になるわけではありません。

  4. 長くなりました、よくわからなかったら僕の力不足です。体力があればまた聞いてください。
    この話を書きながら「電子→お金」に変換して妄想していました。A君は一生懸命B子さんに貢いでいたのに金持ちのC君に取られるの図。いや酷いですね。

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